チケットIDとzenyの交換は規約違反なのか?

どうもこんにちわー!!かな子☆だよー!

 

はい、どうもすいません、かるねです。

 

今回はギルド「かそーつーか」の名前含めてTwitterや某掲示板で「不正容認ギルド」と炎上してしまったのでマジメな考察を書こうと思います。

 

本当は、このような記事を書く事自体がとてもネガティブであり、結果として私たちROユーザーに不利益をもたらしてしまう可能性もあるため、少しナーバスになっています。

 

しかしご理解いただきたいのは私たちギルメン含め、目的はラグナロクオンラインという素晴らしいゲームが今後も健全な成長を遂げ、できる限り長い間この時間を楽しみたいという事であり、決して運営会社やその他プレイヤーに対して非誠実な行いを助長するものではありません。

 

もう一つ前提は、私は職業弁護士であり本稿の内容には法的な考察が多分に含まれておりますが、本稿はあくまで私見であり、第三者に対して一切の責任を負うものではないことをご了承願います。

 

それでは早速タイトルの通り、「チケットIDとゲーム内通貨であるZenyの取引は規約違反にあたるのか?」という観点を考察していきます。

 

1.そもそも、規約違反とは?

おそらく大多数の人は、これについての認識は主に以下の2点から、規約違反であると捉えられているのではないでしょうか。

   (i)プレイヤーの問い合わせに対して、公式サポートからIDチケットとZeny交換を禁止しているという趣旨の回答がなされたであろう点

   (ii)究極精錬チケット配付のお知らせにIDチケットとZeny交換を禁止すると明記されている点

 

しかしながら、実は上記の事は「規約違反」を構成するかという点については直接関係がありません。ここで重要な点は、私たちユーザーとガンホー・オンライン・エンターテインメント社(以下ガンホー)との間ではどのような契約がなされており、どのような規約に支配されるか、という事です。ガンホーは神様でも法律でもなんでもなく、私たちユーザーの契約相手に過ぎない事を念頭に置いてください。先ず、私たちは月額1500円の対価を支払う事により、ガンホー社がゲームサービスを提供するというサービス提供契約を締結している事になります。そしてユーザーおよびガンホー社は以下の「サービス利用約款」に遵守する事が義務付けられています。

www.gungho.jp

つまり、簡単に言うと「規約違反」かどうかについてはこの約款に違反するかどうか、という点に尽きます。そしてこの約款が不明確であるとき、その解釈についてはガンホー社の意図やユーザーの意図というものは考慮されず、ここに書いてある明確な文言のみが法的拘束力を持つとされるのが我が国の判例です。ちなみにこの約款でも準拠法は「日本法」と明示しており、数あるオンラインゲームに関する裁判例により導き出された上記の定理はこの約款にも適用されます。

 

2.じゃあその約款の内容って?

では実際に規定の内容を見ていきましょう。

 

実は規定にはチケットID等の記載は一切無く、関連する条項は次の条項のみです。

第10条 ユーザの禁止事項

(26)本サービス内で獲得したアイテム、金銭等の売買その他の有償取引を行うこと

これはもともとリアルマネートレード(RMT)を禁止した条項と考えられます。つまり、RO内で獲得したアイテム、金銭(ここで現金を想起させる金銭という定義を使用する事も不適切)などの売買(現金との取引のこと?)その他有償取引(現金取引に類する物々交換やオークションのこと?)を禁止している、と。

 

これを読んで理解できるでしょうか?

 

端的に言って不明確であり、この「有償取引」がチケットIDとZenyの交換まで禁止しているとはとても読み切れません。ちなみにガンホーは別途RMTに関する注意喚起の公式ページを用意していて、そこでは「Zenyはユーザーの所有物ではなく、全てガンホー社の所有物である」と明記しており、そもそもZeny取引では「有償取引」を構成しない可能性もあります。また、チケットIDがそもそも本サービス内で獲得したアイテムと言えるのか?これをZenyと取引する事が有償取引と言えるのか?チケットIDをアイテム化してZenyと交換する取引や、代行はこれに該当するのか?全ての疑問に対してこの規定では全く答えられないでしょう。

 

話は変わって、JOGA(日本オンラインゲーム協会)というガンホー社が中心となって推進する自主規制団体があり、こちらのガイドライン(もちろんこれは加盟するオンラインゲーム事業者間の取り決めなので我々ユーザーに対しての拘束力は一切ありません)にはRMTについて、以下のように規定されています。

 

b. リアルマネートレード(ゲームで提供される ID、アイテム、ポイント等を現金と取引する行為。以下、RMT)に関わる一切の行為を禁止します。

 https://japanonlinegame.org/wp-content/uploads/2017/06/JOGA_declaration_2016.pdf

 

お分かりいただけますでしょうか。

 

非常に明確でわかりやすい規定です。同じガンホー社が推進する自主規定団体ではこのように明確な規定を打ち出しているのに対して、なぜお膝元のガンホー規約は曖昧なままなのでしょうか?その気になればガンホー社はいつでも規約を変更する事ができるのにもかかわらず(疑問その1)。仮にガンホー社がIDチケットとZeny(もしくは現金)の交換を禁止したいのであれば、以下のような規約に変更すべきです。

「本サービス内で提供されるIDと現金またはゲーム内通貨の取引を行う行為を禁止」

 

3. でも究極のお知らせメールはどうなん?

そうは言っても究極精錬チケットはお知らせメールで禁止って書かれてる以上は規約違反じゃん?と思う人もいるかもしれません。

 

しかしながらこれについてもよくよく見てみると法的拘束力の点でとても不明確であり疑問が残ります。先ず、究極精錬2019についてはこちらの公式ページが「申込の誘因」にあたり、条件等が記載されており、基本的にはこの条件が今回の究極精錬チケットの契約内容となります。

ragnarokonline.gungho.jp

IDチケットとZeny交換を禁止したいのであれば、明確に「注意事項」の項目に規定すべきでしょう。しかし、こちらのページにはIDチケットとZeny交換の一切の記述は見当たりません(疑問その2)。たとえば、あなたがディーラーで車を購入し、契約書にサインしました。しかし納車された車の説明書に「この車は売買禁止です」と書かれていました。これは果たして有効と言えるでしょうか?つまり、このようなケースでは、配付お知らせメールにチケットIDとZenyの交換を禁止と書いたところで法的拘束力は無いと考えられます。そもそもこのお知らせメールは規約でもなんでもありません。

 

4. じゃあIDチケットをZenyと交換してもBanされないの?

Banするかしないか、という点はガンホー社の一存ですので断言はできませんが、現在の約款を根拠にユーザをBanをして、ユーザに訴訟を提起された場合ガンホー社は極めて不利な立場となるでしょう。規定の不備は明らかであり、仮にガンホー社が敗訴した場合は相手が高額課金者であればあるほど多大な損害賠償と、訴訟対応費用、その他もろもろの社内リソースを消耗する事態となり、そのリスクを負ってまでBanするという可能性は低いでしょう。仮に私が顧問弁護士や法務責任者の立場であれば、間違いなく本件でユーザのBanは推奨しません(冒頭にも書きましたが本稿はあくまで私見であり一切の責任は負えない事了承願います)

 

5.ならガンホーは一体どーしたいのよ?

つまり、私からすると、これはガンホー社が意図的にIDチケットとZenyの交換を「規約違反」とならないように巧妙に規定を構成しているとしか思えないのです。何故明確に約款を変更し、究極精錬の公式ページにも明記しないのでしょうか?これが単なるガンホー社の怠慢だと思いますか?今や一部上場し、売上高1000億を超える洗練された大企業が、サービスの要と言える約款を怠慢で放置している等という事は到底考えられません。

 

この理由をさらに考察するためには、ガンホー社の事業構成、近時の売上高の推移、高額課金者の傾向、近年ソーシャルゲームを中心とするガチャの問題化と消費者庁の傾向、反社会勢力とRMTの結びつきに関する警察機構からの要請など、様々な問題が関係してくると思います。一応これらの事についても私たちはそれなりの見識があり、なぜ現在のような対応が取られているのか予想はしておりますが、こちらはまたとんでもなく長くなるので次回(やる気がおきればw)。

 

6.で、お前らは結局何がしたいん?

冒頭にも書いたとおり、正直みんなと少しでも長くこのゲームを楽しみたいだけです。ギルド全体で見たらガンホーに半年で数百万以上を課金する立派な癌畜ギルドですが、このゲームに対する想い入れはみんな格別です。単に癌畜としてお布施するだけでなく、ユーザとしてどのような行動ができるか色々と模索して、いろんな事を含めて総合的に楽しめればなと思ってます。IDチケットとZeny交換についても、ギルメン含めて現在は行っておりません。え?過去やってたのかって?

 

私がマグロ缶と茹でサソリ(売のチャット出してても誰も来なかったよ

 

というオチで締めてもいいんですけど、ここまで来たら最後にもうひと押し。私たちは仮想通貨だけでなく、株や為替、不動産、その他事業投資など様々な投資について話題にしています。したがって常にガンホー社の事業動向や財務状況についても見ています。そして採算が合わない事業(つまりゲーム)については容赦なくサービス終了をしている現実を知っています。当然営利目的の上場企業であれば利益の追求が最優先であり、株主の期待はリターンである事を忘れてはいけません。直近の決算報告でも主力事業はパズドラと、新規スマホゲームであるRagnarok Mの海外展開であり、これらが今後の注力事業と位置づけられ、我々が愛するこのラグナロクオンラインはどの報告書にも書かれていません。新規ユーザーの取り込みに悩む中、現在の事業採算は高額課金者に頼る所が大きいのが本音だと思います(もちろん私たち以上の高額課金者のこと)。今回の騒動のワーストケースは、ユーザーが闇雲にこのチケットIDとZenyの交換問題を騒ぎ立て、ガンホーが規定改変等を止む無く行い高額課金者を離れさせ、結果としてラグナロクオンラインの採算が合わずに事業撤退(サービス終了)してしまう事です。そうなったときに、私たちはRagnarok Mでスマホでピコピコこの世界を楽しみたいですか?いいえ、私はドット絵だろうと、多少ラグがあったって、この15年変わらないミッドガルドの雰囲気が大好きです。私たちはラグナロクオンラインが大好きである事に変わりは無く、できれば永遠にこの時間が続いて欲しいと思っているのです。という事で、最後までこれを読んでくれた人がいたとしたら、本当にお疲れ様でした笑 気が向いたら狩りに誘ってください。

 

それでは、良い子のみんな、かな子でしたー☆

ほんとごめんなさい、かるねでした。